2017年1月19日木曜日

現代都市政策研究会2016年12月例会感想


知らないことづくしのマイナンバー制度


                                 I.   T.  


2015年度後半から表面化したマイナンバーの問題。以前から大変なことになりそうだという予感はしていましたが、私の勤務先自治体の担当部署の混乱ぶりは、すぐ間近で見ていても予想を上回るもので、余りに気の毒でした。全職員向けのマイナンバー制度説明会を聞いても、制度の中身については分かったようで実は分からない感じがしていました。

そのような中で聞いた今回の話。和内さんの話は私にとっては目から鱗が落ちるようなものでした。マイナンバー制度のそもそもの出発点が歳入庁構想にあったことや、政権交代で利便性とセキュリティの視点が加えられたことなど(理念の無理)、冒頭から知らない話が続きました。そして法律面での無理・技術面での無理という話では、担当窓口現場で起こっている様々なトラブル・想定外の膨大な業務量といった事象が紐解かれていくような感じでした。更には、個人情報についてもビックデータの活用を視野に入れるためマイナンバー法と個人情報保護法が一体で改正されたとの話まで出ました。最後まで知らないことづくしでした。

また、懇親会の時にも感じたのですが、今回のような大がかりな法整備・事業をするにあたって、事前の制度設計段階で、国は自治体と十分な議論を尽くしたのかどうか、実際はあまり議論をしないまま制度が走り出したのでは、と疑問を持ちました。例えば「市町村は住民に個人番号を通知しなければならない」ということ一つとってみても、例えば通知の方法、やむを得ず住民票と別の場所に住んでいる人への対応(DV関係や住所不定者、施設入所者等)、通知上の氏名の文字と住民票の氏名の文字との整合性、通知に使うデータのセキュリティ、など、少し考えるだけで多くの課題・問題が出てきます。全体的な多くの課題・問題に対してしっかり議論していけば、それなりの準備期間は必要だったと思います(実際は自治体側で課題や問題を洗い出して対応していた様です)。
今後もマイナンバー制度は様々なことに活用されそうですが、まずは各自がマイナンバー制度についての理解をしていく必要があると思いました。

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