2016年7月24日日曜日

現代都市政策研究会2016年6月例会感想


一つに囲い込むのではなくもっと多様性のある居場所を地域にちりばめるべき 

A.       S.

 学童の法的な位置づけが長期間に渡りなされてこなかったのは、驚きであった。私自身の子ども時代にもあった、あるいは、役所の中で、児童館内の学童が直営で行われ続け、委託の進んだ今も、サービス水準のチェックを行っているということを、遠くから見続けてきたことから、何らかの位置づけがあるものと、誤解をしていた。 しかし、そうであるなら、学童を置くそれぞれの自治体が、「学童はかくあるべし」というものを積み上げてきたのではないだろうか。学童のありかたをしっかりと持ち、厚生労働省の基準を横引きするだけでない独自の取り組みができるのではないか。

私自身の経験からも、保護者自身が、「安心」を求めるあまり、学童や全児童対策事業にあれもこれもと期待をかけていると痛感する。保護者にメール送信をする出欠管理、長時間化、あるいは学習や、経験プログラムなど、大人がお膳立てをすることに対する要望が高まっている。

 一方、発達障害や虐待、いじめなど、よりきめ細やかなケアを求められる児童も増えており、学童のように、長年にわたってケアの経験を積んできた担い手こそが、しっかりとその期待に応えられるし、それができる労働環境の整備が必要である。保育園同様、子どものケアに対する評価が低すぎる。

 しかし何より、学童あるいは、全児童対象事業が本当に期待をされているのか、子ども達自身に聞いてみたい。成長に従い、徐々に自分達で自由に遊ぶことが、児童の自立につながり、ちょっとしたリスクを経験しながら長じて大きなリスクを回避できる力を養うことにもなる。保護者が求める学校や施設の中の、たった一つの居場所で子ども達を囲い込むのではなく、地域の居場所や、プレイパークのような多様性をもった居場所もちりばめ、そこに誰でも参加できるようにしていくことが必要なのではないだろうか。

 古谷氏の経験に裏打ちされたお話は、貴重であった。それゆえ、「子どもにとっての居場所」について、おそらく、胸に秘められたものがあったと推察する。

当会でもさらに、今の子どもの向き合っている課題について研究を深め、学童についても改めて取り上げられることを期待する。

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