2016年1月23日土曜日

現代都市政策研究会2015年12月例会感想


大橋一範さんに「週間きちじょうじ」、吉祥寺雑学大学の長続きの秘訣を聞く
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 1220日に例会で、「週間きちじょうじ」の編集・発行人であり吉祥寺雑学大学の事務局長でもある大橋一範さんから長年の苦労話とこれからについて伺いました。大橋さんは、1982年2月にもおいでになっており33年振りとなります。その後が気になる例会でした。

■「いかに手を抜くか」で続けている週間きちじょうじ

「週刊きちじょうじ」は、1975年の創刊。平成27年3月に創刊40周年記念号を発行し、ここの12月で通算2128号となりました。

 創刊のきっかけは、ロスアンジェルスにいったときにフリーペ―パーがたくさん発行さて、それが地域をつなげるメディアになっていることに驚かされたことだそうです。帰国後、自ら住むまち、吉祥寺で発行し、日本の地域メディア、タウン誌の草分け的な存在となり、全国で名が知られる存在となっています。

 創刊当時は市役所を回りながら情報を収集していましたが、今では情報のほうからやってくるようになっている。市役所から広告費などの支援はなかったものの商店街などからの支援があり今日まで続いているそうです。

 創刊当時は写植の時代でしたが、コンピュータを入れたことでコスト削減となり編集期間も2週間から今では1日程度で発行できるようになったそうです。バブルが崩壊したことで広告は減りましたが、このようなコストダウンができたことで続いているとされていました。

 ネットメディアが普及し、「週刊きちじょうじ」を紙で発行する必要があるのかという素朴な疑問にたいしては、ネットはバブルのようなもの。すぐに消えてしまうが紙なら残る。アーカイブになると話されていました。

 確かにネットで見るよりも紙でみるほうが読みやすく、紙の経年変化もあり、時間の経過が積み重なっていることが伝わるように思え、実物を残す意味があるようにも思えました。

 気になるのは、長く続けるための秘訣ですが、大橋さんは「いかに手を抜くか」だと話されていました。

 言葉をそのまま鵜呑みにはできませんが、あれもこれも欲張らずにしていること、できることを行うことが、どうやら、この意味のようです。

 また、「週間きちじょうじ」の体裁を、創刊当時の細長いものから社内印刷製本機を導入したさいにA4サイズに変更しましたが、不評のため、一年もたたずにA5サイズへ変更したことも話されていました。

 A4サイズは、女性のバックに入れにくいことで不評だったことが分かり、半分のサイズとなる現在のA5サイズに変更したのだそうです。

 このように読者ニーズを常に気にしていることも長続きの理由といえそうです。今でも、蛇腹折りのようにすれば、読みやすいとかロール紙から印刷できればコストカットもしやすいなど技術的なこだわりも話されていて、常に次を考えていることも長続きの秘訣のように思えました。

■「3タダ主義」運営の吉祥寺村立雑学大学

 吉祥寺村立雑学大学(以下、雑学大学)は、市民が入れ替わり講師となり、授業料、講師料、会場費ともにタダという「3タダ主義」の運営が続けられ現在に至っています。昨年5月に亡くなられた松下圭一さんも市民のひとりとして登壇されていました。

 こちらの長続きの秘訣は、「極力何もしないこと」と話されていました。何もしないと言っていると勝手連がやりだすので、やりたいことをやらせることで続いているのだそうです。

 とはいえ、大橋さんには事務局長として権限があります。話のなかで、どのようにハンドリングをしているのか? と質問が参加者からありました。

 大橋さんは、権限はあるが、使わないようにしている。ただし、タダでやる原則は守ってきているとされていました。

  例えば、講師にプロを頼みたい時があっても、講師料をタダにしては職業をおかしていることになる。講師にメリットがあり納得してもらえればいいが、偽善を強要するようなことはしない。

 雑学大学と同じようなことを行政がやると予算が必要になり、30万ぐらいは絶対にかかる。やる以上は立派にやらないとならが、タダなら気構えが必要ない、との話もあり、ここに長続きの秘訣がありそうです。行政の関わり方としても参考になりそうな視点でした。

 今後は、現在も行なっているが、このような雑学大学の運営を広げるために「伝道師」を派遣することを広めていきたいとされていました。各地に広がった雑学大学も都市研の今後のテーマとなりそうです。

■広がる話の意味

 大橋さんは、「いかに手を抜くか」、「極力何もしないこと」と秘訣を話される一方で、コンピュータの歴史など話が多方面に広がり、聞いている話がとこへ結びつくのか聞く方も大変でした。

 これは、「週間きちじゅうじ」「雑学大学」ともに、あらゆる可能性を常に探りながら続けてきたことから幅が広くなったのだと思います。

 大橋さんに次に話を伺うとしたら、いったい、何時頃になるのでしょうか? それまでに、ふたつとも続いていることを願いたいと思えた例会でした。

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