2014年11月2日日曜日

都市研2014年9月例会感想

次世代の公共交通について―ユニバーサルデザインとエコデザインの融合―

A.S.

 今回の研究会では、地球温暖化と高齢化社会を解決するため、技術と知恵を結集させた次世代の乗り物についてお話を伺うことができました。この二つの問題は全く別物だと思っていたので、今回初めて「ユニエコ交通」という言葉を知り、感銘を受けました。特に、病院内で走る自動乗用車輌のお話は、勤務先が病院と密接に関わっていることもあり、印象に残っています。
 自動乗用車輛の開発は移動権を確保するためのもので、広くて似たような通路が多い病院内でも、自分一人で行くべき部屋にたどりつくことができるようになります。介護の人手不足が深刻化する中で、今後の社会に大いに役立つと思いました。今ある電動車椅子を少し改造すれば電動車輛になるようになっているとのことで、実用化しやすいよう工夫されており、早く実用化される日が来ると良いなと感じました。しかし、コストの問題や空間の確保、視覚障害者が車輛の存在に気付きにくいなど、課題も多いのが現状のようだったので、いかに病院関係者や国民の理解を得られるかを考えていく必要があると感じました。
 メリットを見出せるのか、収支のつり合いはとれるのかは実際にやってみないとわからないけれども、いろんな選択肢があって、それらを自由に選べることが、ひとりひとりの生き方を尊重することに繋がると思います。公共交通の教育を充実させ、受益者だけでなく国民全体で「安心・安全、エネルギー・環境負荷が少なく、活気ある『コ・モビリティー社会』を実現していけるよう、私も日々問題意識を持ち続けたいです。


公共交通は何のために必要か

 T.K.

  慶応大学の西山先生より、日本の公共交通課題、富山市のLRTを始め日本の最新の交通事情についてお話を伺うことができました。交通機関の発達により、地域が活性化するのはもちろんですが、公共交通とは何のために発達が必要なのかを考えさせられた講演でした。
 今回の講演では、高齢化社会を技術革新から支えられるということが最大の発見です。例えば、バスを電気自動車にすると、従来エンジンを乗せるために生じていた車内の段差をなくし、車内全体をフラットにすることを可能にしました。そのため、高齢者の方や体が不自由な方にも乗りやすく、移動範囲が限られていた方々がより遠くに、より行きたい場所に行けるようになります。
 しかし、新しい技術にはコストがかかり、このバスの事例もコスト面での課題も残されているようです。コストだけを見ると従来のバスで良いという意見も出るかもしれません。ですが、公共交通は誰でもいつでも行きたいところに行けることが重要ではないでしょうか。公共交通の利益を受けた分だけ料金を支払う応益負担を取っている日本の価値観に、先生が疑問を投げかけられていたのがとても印象的で、この価値観もコストと並び今後の課題になっていると感じました。
 これからの公共交通をはじめとする社会全体において、高齢化社会や時代の変化に応じて価値観や技術を合わせていくことでよりよい住環境、社会に繋がるという具体像が見えた講演でした。

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