2014年11月23日日曜日

2014年度富山合宿報告&感想

地元の味も堪能し、大人の気持ちを満たした合宿
T.M.


Ⅰ.合宿概要報告
1.11月2日(1日目)
(1) 富山市路面電車推進室室長代理の野村知範さんからの「富山市の交通政策・LRTの現状・課題について」のレクチャー
野村さんから「富山市の公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりの取り組みについて」という52ページにわたるとても整理されたパワーポイントの資料に基づき説明を受けました。


◆お話を伺う中で印象に残ったことは、以下のようなことでした。
1)富山市は、1945年8月1日に空爆を受け、まちのほとんどが焼失してしまい、復興の際に道路が広く整備され、車利用の便利な渋滞のないまちになったこと。
そのため自動車への依存度が都道府県で第2位、公共交通が衰退してしまった一因でもあったこと。
2)富山市の公共交通(鉄軌道6路線・バス路線)は、富山駅を中心に放射状のネットワークを形成していて、その沿線に中心市街地・公共交通沿線居住推進地区を設け、金銭的補助も行い、居住の誘導を図っていること。
3)居住推進地区の高齢者等人口の増減をGISと住民基本台帳をマッチングしてエリアの数値を見える化し、居住誘導の客観的なデータとして活用していること。
4)他の自治体では鉄道からバスに切り替えることによりさらに乗降客が4割が減少したこと。このことが鉄道を中心とした公共交通による再編(コンパクトシティ)にこだわる根幹の要因になっていると思えたこと。
5)富山ライトレールは、JRが運行していた既存の線をLRTに変更し、交通網の幹の部分をライトレール、ライトレールから先の枝の部分をバス(フィーダーバス)にまかせることにしたこと。(これは、地元に富山地方鉄道があったからこそできたとのことでした)
6)経費については、車両が特注のため、2億5千万かかっているとのこと。バリアフリー化し、シルバーカーも押しやすい構造にしている。路線については、新設だと20億~30億/1㎞かかるが、既存の路線を利用したため全線(延長約7.6㎞)58億円で済んだとのことでした。
7)セントラム(環状線)の整備にあたっては、平成19年10月の「地域公共交通活性化及び再生に関する法律」によってはじめて認められた上下分離方式(公設民営方式 上―富山地方鉄道(株)が軌道を運営 下―市が軌道整備事業者として施設・車両を整備・保有)を整備したこと
8)上下分離方式なら地方鉄道も何とかやっていけること
9)さらに富山市では、65歳以上100円(通常200円)でライトレール、鉄軌道、路線バスが自由に乗れる「おでかけ定期券」を発行し、中心市街地への行き来の利便性を向上させている(費用は、富山地方鉄道と市が折半している)
10)富山市の中心市街地「総曲輪」にあるグランドプラザ事業(平成19年8月完成)では、敷地内の私道を中心に集め、20メートル広場空間(道路)を作り、広場空間ではエコリンク(スケート場)ができる。運営はまちづくり会社が行っていること。


◆富山市が公共交通を中心にコンパクトシティに取り組めた要因
最後に、富山市が公共交通(鉄道・軌道)を中心とした取り組みができたのは、①既存の施設を活かせたこと②事業を運営できる事業者(鉄道・軌道)がいたこと③路面電車はランドマークになり、市民にアピール性があること(路線バスでは、路線がいつ廃止になるか分らない)との話が印象的でした。


(2)グランドプラザ、総曲輪通り商店街、中央通り商店街等のまち歩き
レクチャー後、あいにくの雨模様でしたが、まち歩きを行いました。
グランドプラザ等一部のエリアは賑わっているものの、中央通り商店街から先は日曜日にもかかわらず、シャツターの閉まった店舗も多く、地方都市の厳しさを改めて目の当たりにしました。これまで集積してきた商業施設のコンパクト化も必要なのかも知れません。


2.11月3日(2日目)
岩瀬のまち歩き
午前中、小雨の降る中、ライトレールに乗り、東岩瀬で下車。まち歩きボランティアの古市さんと合流し、港町岩瀬のまち歩きを行いました。
岩瀬のメインの街並みの裏側は、当時は神通川の河口に面していて、船が着き自由に出入りができたとのことでした(現在は埋め立ています)
船の木材を利用し、板と板を「ちぎり」で繋いだ塀は風情があり、また当時は「廻船」問屋と言わず「倍船(ばいせん)」(船の運行で倍々に儲けていたことからそう言われた)と言われていたなど面白い話を伺いました。
今回の富山合宿は、視察内容はもちろんでしたが、白えび、げんげ、ほたるイカの沖づけ、地魚、地酒、ブラックラーメンと地元の味を堪能し、路面電車に乗るという、ちょっぴり大人の気持ちをくすぐる楽しい合宿になりました。

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